緊急企画!2022年6月、謎の施設がKAWAYA-DESIGNの社屋にドーン!生みの親の二人が語るインフラスタンドへの熱情対談。


いよいよ着工が進んでいるKAWAYA-DESIGNの「インフラスタンド」。
近くを通る人なら「ここに何ができるんだろう?」「ここはいったい何をしている場所なんだろう?」と気になっているはず。
KAWAYA-DESIGN社屋の空きスペースに突如現れ始めた謎の建築物とは。
誰がどのような思いで作っているのか、今日はプロジェクト当事者の、自称トイレ野郎社長こと小澤大悟と、建築家高橋真理奈さんの対談です!


謎の施設「インフラスタンド」とは?

©シン設計室

—-まず最初に、「インフラスタンド」とは何ですか?石和設備工業さんの敷地内で建設工事が始まって、通り行く人は皆気になっていると思います。

小澤「インフラスタンド」は簡単に説明すると公衆トイレです。誰もが使える地域の公衆トイレになります。ただ、それ以外にもベンチやカウンター、サイクルステーションを設ける予定で、公衆トイレを利用しつつ、道ゆく人が自由に休憩できるようなスペースになる予定です。

高橋さん工事現場に看板もありますが、物件名が「インフラスタンド」だと何が建つか分からなくて、皆さん気になりますよね(笑)。

トイレ野郎社長、建築家高橋真理奈を見初める

—-小澤さんは高橋さんをどのように知ったんですか。

小澤SNSです。知り合いが高橋さんが当時やっていたクラウドファンディングをFacebookでシェアしていて、面白そうな企画だなと思って読んで、建築家である高橋さんを知りました。

—-高橋さんがやられたクラファンとは、西所沢に自身のオフィス「シン設計室」の隣に私設図書館を開きたい、というもの。
私設図書館という耳なじみのあまりないものを生み出した高橋真理奈さんとはいったいどんな人物なのか。

©シン設計室

所沢がダサくて嫌いだった
と語る高橋さんを面白いと思ったトイレ野郎社長は
10,000円を握りしめて高橋の元へ参じた

小澤とても面白いクラウドファンディングの企画でした。もともとずっと前から、僕の中にこの会社の敷地に公衆トイレを作ろうという企画自体はあったんです。でもなかなかいいアイデアが浮かんでこなくて、寝かせていました。

そんな時に出会ったのが、「シン設計室」の高橋さんのクラファンで。クラファンの文章で、「所沢がダサい、嫌いだった」といっている高橋さんのことを面白いと思いました。

高橋さん埼玉都民だった私が開業するにあたって地元所沢を選んだくだりですね(笑)

小澤そうですそうです。「所沢のチェーン店やタワマンばかりが目立つ街並みが好きじゃない。だから自分が事務所を開く場所は都内…?そんなことでいいのか!!いかんだろ!!」っていうあたり。
そして所沢を選ぶ。せっかく所沢で開くなら、「地域の人が集うような場所で、自分が所沢の人の声を聞ける場所にしたい」っていうところ。

そこに強く共感しました。クラファンの返礼品の中に、「建築についての相談」があったのも面白いと思って。「これは面白い!チャンスが来た」と思ってクラファンで支援して、ホントに相談しました(笑)。

高橋さん10,000円の「建築家へのご相談コース」ですね。私も開業したての時で、特に営業もしていなかったので、仕事がゼロの状態でした。クラファンを見つけてくれた誰かが、「ついでに家のこととか、軽く相談しようかな」となって、それが仕事に繋がったら面白いなと、冗談っぽく返礼品にしました。

そしたら思いのほか、ガチ目の相談がきて、それが小澤さんでしたね。まさか本当に相談されると思ってなかったので、すごくうれしかったです。なにより、あのクラファンの文章を読んで、私に会ったこともないのに信頼を寄せてくれたことがうれしかったですね。

高橋さんが私設図書館をつくる際に行ったクラウドファンディングのページ

高橋さんの所沢開業話の始まりは物件探し。
西所沢の築50年超の吉祥荘のドアをノックする

高橋さん地元で開業しようと思った際、「私と同じように所沢に対して複雑な想いを抱いている人がいるんじゃないかな」と思ったんです。所沢に対して複雑な想いがありつつも、所沢で面白いことをしたいと頑張っている人はいないかなと。調べていくと、西所沢の築53年の吉祥荘という建物をセルフリノベして、古書店をやっている「サタデーブックス」の大竹さんのことを知りました。

実際にお店に行くと、とてもいい雰囲気のお店でした。その場で大竹さんに、事務所用の物件を探していると相談したら、「隣に二部屋空いてますよ」と教えてくれて。ちょうど二部屋だったので、「設計事務所と私設図書館をやれる!」と思って、借りようと即決しました。

大竹さんから、物件の管理会社の吉祥リビング(所沢にある不動産屋さん)の岡川社長を紹介していただきました。私は当時所沢に全然知り合いがいない状態でした。手ぶらで素性も分からない人間が「設計事務所と私設図書館をやりたい!」と突然相談しても、断られるかなと思ったので、ガチでプレゼン資料を用意して、岡川さんに吉祥荘を借りたいとお願いしました。

岡川さんも柔軟な方で、とても面白がってもらえて、無事物件を借りられることになりました。そして、私の設計事務所である「シン設計室」と、私設図書館「シン図書館」を開くことができました。

©シン設計室

運命的な二人の化学反応。
プロジェクトは速歩きでのトイレツアーから始まった

—-聞くところによると、小澤さんは当初高橋さんに、公衆トイレの確認申請だけ依頼できたらと思っていたんですよね。

小澤そうですね。建築自体は自分のチームでやろうと思っていました。単にいろんなテイストで「ヨーロピアン、アメリカン、リゾート風」などのトイレをいくつか置くだけのつもりでした。

だけど高橋さんと一度会って、次に会うときは早速一緒にトイレツアーをして。その次にはトイレツアーの時に話していた自分と高橋さんのインスピレーションを企画書でまとめてくれた。その企画書は今までに見たことのないものだったんです。きっと誰も見たことのない場所ができると思った。

そもそも、高橋さんがどんなジャンルの建築士だったかは知らなかったのに、トイレツアーに行ったとき、僕は高橋さんにとにかく共感しました。高橋さんとの出会いがなければこのプロジェクトはこういう形にはなり得なかったと思います。

高橋さんまずはどういう公衆トイレを作ればいいか、イメージをすり合わせるために、渋谷のトイレプロジェクトなど、話題になった先行事例や、最新の事例を見ることが大事だと思いました。

渋谷のトイレプロジェクトは今までのトイレのイメージを払拭させるものが多く、お互いの思考を柔軟にするために、「トイレツアーしませんか」と提案しました。めんどくさがることなく、小澤さんも一緒に面白がって同行してくれました。

小澤ツアー中高橋さんの建築家魂に火がついているのがわかって僕も面白かったですよ。
めっちゃ速歩きになって、「ちょっと時間あるんで、もう一つ周りますか」とか言ってきて。アグレッシブでした(笑)。

—-お互いに刺激をもらえるツアーだったみたいで楽しそう。1回目の打ち合わせの熱量で相思相愛になったように見えます(笑)。

小澤もう、その段階で僕の中で高橋さんに決めていました。実際、歩きながら見たトイレのイメージのすり合わせが、ほぼ今のプロジェクトの原型になっています。

トイレの使い方を実際に見たり。例えばUBER EATSの配達員が休憩でベンチを使用していたりして、「こういうトイレの使われ方いいです」とか、歩きながらお互い感想をいいながらイメージのすり合わせをしました。

高橋さん最初、小澤さんの相談内容を聞いた時は、「確認申請だけをお手伝いする感じかな?」と思って、デザインを期待されるようなプロジェクトではないかなと思いました。でも、相談を聞きすすめると「公衆トイレを会社の敷地内につくって、それをショールーム代わりにしたい」ということで、すごい面白いなと思いました。

KAWAYA-DESIGNさんのことも最初は知らなかったのですが、所沢のMITARUコーヒーのトイレを見たことがあって、「変わったトイレだな」と記憶に残っていたんです。だからご相談をいただいたとき、KAWAYA-DESIGNさんを調べようと思ってサイトを見たら、MITARUコーヒーの事例が載っていて、「あっ」と思いました。面白いトイレを作っている会社ってここだったんだと。

高橋さん実は私の周りの建築仲間に、「今、公衆トイレの設計をしているんだ」というと、「公共の仕事をしているの?」とか言われるんですよ。まあそれが普通の感覚ですよね。「そうじゃなくて、いわゆる設備屋さんからの案件なんだよ」っていうと、みんな一様に「えっ」って驚くんですよね。

設備屋さん自身が公衆トイレを作ることって、まずないと思います。小澤さんの、「自社の事業拡大のためにショールームとなる公衆トイレを作る」というアイディアを聞いて、そんな発想があるんだ!と驚きました。設備屋さん自身が公衆トイレの発注者になるのも面白いし、公衆トイレをショールームにしてしまおうという発想も面白いと感じました。

単なる公衆トイレではなく、ショールームにしたい!
高橋さんもトイレ野郎社長も知らない世界が見え始めた

高橋さん会社の空いた敷地に公衆トイレを作りたいという相談でしたが、「敷地内には仕事で使う車両を停める必要があるから、公衆トイレの計画で使える敷地はこれぐらいです」と、最初に小澤さんに提示された敷地面積は、2m角の小屋を建てられる程度の広さでした。

でも、小澤さんのビジョンを聞いてみると、「小屋を建てるだけでは、小澤さんの目的は果たされないな」と思いました。ショールームとしてトイレを作った先、結局人の目につかなければ意味がない。だからちょっと目立つというか、町のシンボルになるような、公園のように人が集まる場所になる建物を計画するといいんじゃないかと思ったんです。

—-トイレツアーに行ったあと、どんなことを二人で話したんですか?

高橋さんデザインやどんな設備を設置するかなどの、具体的な話はなかったです。どちらかというと、トイレツアーを通しての感想を共有する感じでした。特に二人とも気に入ったタコ公園のイカトイレの話が多かったですね。「風通しが良くて、便房がそれぞれ独立しているのって発想になかったけど、気持ちがいいね」「中庭に緑があって、外にも屋根があっていいね」みたいな感じでした。

小澤さんには、トイレの暗い・汚い、という負のイメージを取り除きたいという想いが根底にあったので、行き止まりがなくて、回遊性があるイカトイレの計画に、小澤さんが魅力を感じていることが伝わってきましたね。その日はとにかく二人で、ひたすら色々なトイレを回って、感想を言い合って、「こんなトイレになるといいよね」とざっくばらんに話した感じです。

KAWAYA-DESIGNは既存の「設備屋」の枠にとらわれず、
事業やビジョンを拡張し続けている

高橋さん今まで自分も前の会社で、設備屋さんと会話をすることはありました。でも、いわゆる「職人さん」なので、設計事務所や工務店の指示の通りに作業するというイメージでした。実際に現場ではそれを求められるので、当たり前なんですけど。

だから、小澤さんにお会いして、自社でトイレ空間を手がけることも驚きでしたし、さらに一軒家丸ごとリノベしたことがあると聞いて、「こんな設備屋さんみたことない!」と思いました。

水道屋さんが、リノベなどの空間作りまでしているとか、トイレをラッピングするサービスを持っているとか、めちゃめちゃすごいんですよ。変わってます。業界のなかではかなり異端だと思います。

今回のような建築工事では、設備屋さんは給排水設備工事といわれる工種を担当します(実際に今回のインフラスタンドでも、給排水設備工事は小澤さんの会社が担当します)。その場合、基本的には施工会社の現場監督などから指示を受けて、工事を行うという仕事の仕方になります。あとは、家庭での水道トラブルの対処などが、設備屋さんの基本的な業務内容になると思います。

設備屋さんは基本的に誰かに依頼されたり、工事現場にアサインされるという形で、仕事を受注します。そのため、家庭の水栓便器の交換作業や水のトラブルの延長で、トイレの空間自体の改修を提案したり、さらに進んでキッチン、リビングの改修まで提案して仕事を受注するというのは、極めて珍しい設備屋さんになります。

自発的にアイデアを形にする小澤さんは、業界の中ではかなり異端だと思います。全国の設備屋さんの中でも、相当エッジが立っている存在だと感じます。

—-小澤さんはこの会社(石和設備工業)の二代目で、お父さんの代には昔ながらの設備屋さんだったはずなのに、どうして自分の代になったときにこういうふうにしようと思ったんですか?ハードルもかなりあったと思いますが。。。

小澤そうですね。水道屋って縁の下の力持ち的な仕事なんですけど、見えないところで丁寧に配管しても、メカニカルなかっこいい配管も床下なんですよね。「丈夫で長く使えて見栄えも良く」というプライドを持って取り組んでいますが、もっと大工さんの仕事のようにお客様に喜んでいただきたい。私たちの仕事でお客さまをハッピーにしたいという思いでいました。
だから、培ってきた知識を礎に、もっと喜んでもらえる、いい意味でサプライズしてもらえる、愛を感じてもらえるようなビジネスを展開させたいとずっと考えていたんです。
僕がKAWAYA-DESIGNを始めたことで、僕が知らないだけできっと同業者の周りの人にはいろいろビックリされているし、いろんなことを言われてるかもしれません。

でも僕は、先代である父にさえ報告もなくこのKAWAYA-DESIGNというビジネスをやり通しちゃったくらいなんで(笑)。
本当にやりたい、という気持ちが強かったんだと思います。

今後は建築士と組まないとできないような案件もどんどんやって、トイレで世の中をハッピーにしたいです。今後も高橋さんとタッグできるようになれればと期待しています!

高橋さんは「寄り添ってくれる人」、トイレ野郎社長は「発注力の高い人」、
とお互いを評価

小澤高橋さんは「寄り添ってくれる」人だと勝手に思ってます。毎回やり取りをするたびに思うんですよね。いいものを作るために骨を折ってくれる感じがします。

高橋さん私は、お客さんの要望を面白がる。自分で好きに形を考えるというよりは、お客さんの要望を面白がって、そこから案を考える方が好きです。お客さんが面白がってくれると、私も面白いので。

小澤さんは「発注力の高い人」だと思います。「予算はいくらで、素材は何々で、テイストは何々風で作ってほしい」と具体的な参考写真を見せて、要望をまとめる発注者の方もいると思うんですよね。でも、その場合は私の提案が欲しいわけではなくて、その写真を具現化して欲しいということなんですよね。

だけど、小澤さんにはきちんとビジョンがあるので、具体的なアウトプットの形というよりも、背景や思い入れをきっちり説明してくれる。ビジョンに沿っていれば、アウトプットの仕方はある程度私に裁量を与えてくれます。ビジョンを共有しつつ、プロジェクトに遊びを持たせるというか、プロジェクトメンバーに任せるというスタンスは、発注力が高い方でないと、できないと思います。

小澤発注力が高い、って新しい切り口ですね(笑)!!!

高橋さん小澤さんの懐が広いから、私も安心していろいろ提案できたし、結果的に面白いプロジェクトになったと思います。私の中で小澤さんは、「提案したい心に火をつける方、発注力が高い人。人に任せる力がある社長」だと思ってます。

小澤それは僕が、依頼する人に「すっごい期待」をしているからですね(笑)。
ある程度の内容を投げたら100、120の返しをしてくれる人だからこそ頼めるんですよ。

高橋さんは、僕の中のトイレの考え方が変わるきっかけをくれたんです。
すごいターニングポイントをくれました。

縁はタイミング。まさに二人三脚でプロジェクトを進めていく

小澤こういう遊びのある、ワクワクするものができたのは、目的を汲んで、発展させられる提案をしてくれる高橋さんと出会えたからですね。

—-二人の出会いはまさにご縁ですね。

小澤僕がリフォームに本腰を入れ始めようと思っていたタイミングと、
高橋さんが起業して、これから頑張ろうと思っていたタイミングがすごくがっつりはまった
のもよかったです。一所懸命やる者同士というかね(笑)。

—-ちなみに高橋さんと巡りあって、どのタイミングで高橋さんとだったらこのプロジェクト自体がうまくいくと感じましたか?

小澤トイレツアーに行ったときですね。
お昼休みにご飯を食べながら、「石の島の石」という小豆島にある公衆トイレの資料を見せてくれたんです。小豆島のトイレは、清掃道具を見えるところに置いていて、利用者とか近所の人が自発的にも掃除ができるようになっているとか、見た目の建築の良さだけじゃなくて、実際に運用されている成功例も見せてくれて。

ほかにも、建築現場の工事中の利用法のアイデアも話してくれましたよね。たとえば建築中の壁に、近所の幼稚園の子どもたちに絵を描いてもらったら話題になるし、その子たちの親御さんたちも見に来るね、とか。

その時に、僕は「この人は本当にこのプロジェクトのために、トイレのことを一生懸命調べてくれている」と思いました。本腰を入れて考えているのがわかった。一生懸命やってくれていたのが伝わってきたんです。「もう絶対にこの人しかいないな」と思いました。

大変なことなど何ひとつなかった。
しいていえば、補助事業申請

—-今までにないようなこのプロジェクトだけに、何か大変なことってありましたか。

小澤・高橋さん(口を合わせて)大変なこと…??とくにはないですね。

高橋さんあ、しいて言えば補助金の件ですかね。小澤さんの方で簡単な事業計画と事業費用を算出した後で私に相談されたので、どんな建築計画になるかは決まっていない段階で、ある程度の予算規模が決まってしまっていました。ただ、大体の予算規模は決まっているのですが、補助金の予算が明確に決まったのは、実施設計が終わった後だったように思います。

明確な予算が決まっていない中で、見積調整をして、設計変更をするのはゴールが定まっていない中での作業となったので、少し不安な中で作業を進めました。

ただ、小澤さんの場合、「建築の予算」ではなく、「インフラスタンド全体の事業予算」を全部つまびらかに説明してくれたので、まだ調整しやすかったですね。「もともと広告費に充てていたけど、これは建築の予算に回しても良さそう」みたいな感じで、フレキシブルに対応して下さいました。補助金があるからこそ、挑戦できる規模になりえたというのも確かですしね。

小澤さんから相談を受けた時に見せていただいた最初の事業計画では、2×2mくらいの公衆トイレを作る計画でした。「会社の空いた敷地内に公衆トイレを作りたいけど、車を一台停めたい。車を停めた上で空いたスペースに公衆トイレを作ることになるので、恐らくサイズは2×2mくらいの公衆トイレを建てることになると思う」と説明を受けました。それ以外の要望としては、「人が集まるような、話題のあるトイレにしたい」ぐらいでした。

その時に見せてもらった補助事業の資料がとてもわかりやすく、熱意が伝わってきたので、「これなら補助金の申請が通るだろうな」と思いました。だから私も補助金がおりることを前提として、計画を考え始めました。

公衆トイレを建てるだけでは人は集まらないから、目立つ建物にしよう。そのためには、2×2mの小屋程度の公衆トイレではなく、なるべく大きな建物を計画しよう。車を停める必要があるなら、大屋根をかけて、駐車場も公衆トイレと一体的に計画しようと考えました。

小さな敷地なので、なるべくごちゃごちゃした計画にするのはやめよう。ただ、屋根をかけるには、柱と基礎は必要になってくるから、その基礎をそのままベンチやカウンターに転用して、人が集える設えにしてしまおう。車も停められるならキッチンカーも誘致できて、トイレもあるから街の人に長く過ごしてもらえる。

最終目的がはっきりしていたので、いろいろなアイデアも生まれやすかったです。小澤さんも最初の相談と全然違う規模の提案をしたのに、怒るどころか面白がってくれました。

小澤当初考えてた小屋よりも大きな公衆トイレの計画となったので、僕は「補助金おりろ!!!!!」って毎日念じてましたけどね(笑)。

KAWAYA-DESIGNのトイレプロジェクトは、
「インフラスタンド」と名付けられた

高橋さん小澤さんと話していると、トイレの負のイメージを払拭したいという情熱が伝わってきます。よく、水道や電気を「インフラ」と表現すると思います。そうしたインフラがないと私たちの生活は成り立たないのに、インフラがあることが当たり前になっていて、普段私たちはそのありがたさを感じずに過ごしています。

「インフラ」とは直訳すると「下部構造」です。下部構造は普段見えづらいものですが、下部構造がなければ、私たちの生活は成り立ちません。

災害が発生した時にも最初に問題になるのは、トイレの問題です。トイレは私たちの生活になくてはならないものです。そういう意味では、トイレは「生活のインフラ」と呼べると思います。

また、今回の公衆トイレの計画敷地の近くには、航空公園がありますが、公園のように誰でも自由に人が集まれる場所は、人が住んでいる街や都市には絶対に必要なものです。公園もある意味では「街のインフラ」と呼べるのではないかと考えました。今回の計画は、「公衆トイレ+人が集まる場所」をつくることが目的です。「生活のインフラ」もつくるし、「街のインフラ」もつくる。

あとは、公衆トイレもあって、そこにいろいろな人が休憩したり、つい立ち寄ったりする場所のイメージとして、少し「ガソリンスタンド」に似ているなと思いました。だから、「インフラスタンド」という施設名を付けるのはどうかと提案しました。多分、私たちがよく参考にしている「イカトイレ」も、名称があるので呼びやすい。公衆トイレに名前を付けた方が、より街の人に愛着を持ってもらえると考えました。

ちなみに、建築の基礎もいわば「下部構造」と言えます。今回、基礎をそのままベンチやカウンター、洗面台に転用しているのですが、普段あまり意識しない・表に見えづらい基礎を人が集まる設えにして、前景化させる提案は、小澤さんの「トイレをもっと表舞台へ!」というビジョンとも合うかなと思って、このような計画を考えました。

インフラスタンドの提案資料  ©シン設計室

小澤提案されたとき、すごくしっくりきたので即決しました。
今回のプロジェクトは、補助事業ということもあって、ロジカルに収益を狙わないといけないんですよ。
インフラスタンドが僕たちのビジネスの超フロントエンドになる。
目的は、ここが水道屋だと知ってもらうこと。
水道屋だけどトイレを扱っている会社だと知ってもらうこと、
実際にこのインフラスタンドを使ってもらって、滞在してもらうこと。
最新の情報をこのスペースにあるデジタルサイネージで見てもらうこと、
石和設備工業が小小学校のトイレプロジェクトも手がけていること。さらに学校のトイレの現状を把握してもらうこと。トイレだけでなく、パウダースペースまで提案できて、こんな使い方ができるんだと知ってもらうきっかけになること。

これが僕にとっての収益化だと思っています。

今一番腑に落ちるのが、ここに来てくれた人に対して、「僕たちはこういう会社です」とここで知ってもらうこと。ここが僕たちの名刺代わりなるということですね。

絶賛建設中のインフラスタンド。
現場に入ってからも最後まで気が抜けない

高橋さん絶賛工事中ではありますが、毎週のように現場に来ています。設計事務所の仕事のメインは、図面を描く・提案することだと思っている人が多いと思うんですけど、デザインや使い勝手にこだわる現場だからこそ、施工の難易度が高くなります。

図面を描いただけで、「はい、この通りつくって」とはならないので、ちょくちょく現場を見に行って、工務店の現場監督さんと相談をして、細かい調整をしています。現場が始まると、さらに気を引き締めます。建築は一度作ったらなかなか手直しできないので。だから、緊張しますね。

シン設計室開業後初の案件。
高橋さんが感じたラッキー

高橋さん私は前の事務所でも、いいお客さんに恵まれていたんです。チャレンジさせてくれた人が多かった。いいお客さんと悪いお客さんがいるというわけではないけれど、お客さんの頼み方で、このプロジェクトが「うまくいくか・いかないか」「面白くなるか・ならないか」が、なんとなくわかります。

小澤さんとの初回の打ち合わせで、「これは面白くなるパターンだな」と感じました。私も自由にアイディアを出せるような状況で、楽しく取り組めました。

—-自分のアイデアを提案できることが好きなタイプですか?

高橋さん自分の好きなものを提案するというよりは、お客さんの要望や敷地の条件、あらゆる制約をその都度なりの解釈をして、提案をするのが好きです。なんとなく、結果が想像できてしまうものよりも、自分の想像を超えるものをつくるのが好きです。

作るとなったら、いいもの、先進的なものを作りたい。だからトイレツアーをすることで、今までのトイレのイメージを一度リセットするというか、なるべく思考が自由になれるようにしました。

アウトプットがある程度分かる状態での発注というのは、着地点が見えてしまっているので、私の場合はあまり楽しめないと思います。所沢で設計事務所を開業してすぐに、小澤さんからご相談をいただき、このような楽しいプロジェクトに関われて、本当にラッキーだったと思います。

高橋さんが開業の際に、不動産屋さんに物件を借りるために用意したプレゼン資料  ©シン設計室

KAWAYA-DESIGNの職人の意識が高い系に向かいつつある

小澤最近、うれしい流れがありまして。現場のスタッフも、最近意識が変わってきてるんですよ。
現場で作業中、気づいたことがあったら提案してくれるようになって。
面倒なことなのに、めちゃくちゃうれしいです。
たぶん、僕のお客さんとの打ち合わせを聞いていて、その姿をみて変わってきてるのかなと思います。
僕のプレゼンて、劇みたいなんですよ。全身を使って。

で、そのお客さんが「仕上がりを見てうれしくて泣いちゃった」といってお礼の連絡をくれたりとかします。
そういうのをはたで見ていて、職人さんもうれしくなってくれたのかなと。仕事を喜んでやってくれている感じがします。僕もお客さんの気持ちになってやるので、ちょっと予算が上回っても、よくなるなら、ってやるようなところがあって。そういう「もっとよくなれ」が職人さんにも連動していて、本当にいい流れができているんです。

所沢っ子の二人が、今後のインフラスタンドに期待すること

—-高橋さんはこのスペースがどうなってほしいなと思っていますか?設計した人として。

高橋さん先ほど説明したような街のインフラ、公園みたいに宅配の人が休憩したり、散歩のついでに寄ってみたり、自然と人が集まるような場所になってくれると嬉しいですね。

航空公園帰りの人も多く通る道ですし、地元の人が気兼ねなく利用してくれればいい。ついつい休憩しちゃう、ちょっと覗いてみようかな、みたいな。街の人にとってかけがえの無い場所になってくれれば嬉しいです。

—-冒頭でも小澤さんが面白いと思った「所沢のナカの人」だからこそ感じる目線でいうとどうですか(笑)?

高橋さんやはり所沢に対しては複雑な感情があります。
「所沢がダサい」と感じるのは、「文化度」によるのかなと思います。所沢の駅前にはチェーン店が多く並んでいますが、巨大資本に頼る感じ、依存する感じがダサいと感じているのだと思います。もっと、「所沢」自身で立つようにならないかなと。

だから、私は所沢で最先端なものをやってみたいと思っているんです。「かっこいいもの、おしゃれなもの、最新なもの」は東京で、所沢は「便利に生活できれば、それでいい」という感じをなくしたいです。「所沢」でもかっこいいもの、最先端なものを自前でつくれるようにしたいです。

小澤さんのことを知って、「所沢でこんな面白いことやってる人がいるんだな」と思って、勇気をもらえました

私の前職の事務所が都内だったので、都内にはそれこそたくさんの設計事務所があるし、かっこいいもの、最先端なものは都内にあるイメージがありました。それを所沢でやってみたい。「所沢だからこのくらいで」とかそういうのではなくて。所沢で普通に自然と、新しいものをつくったり、活動をする。

「渋谷のトイレかと思ったら所沢だった!」と思っちゃうような(笑)。そうして、文化度があがるように、自分も所沢に寄与したい。でも、「所沢のために!」という押し付けがましい感じではなくて、あくまで自分たちが楽しく面白がって、それが結果的に「所沢、けっこうやるじゃん」みたいな感じになるのが理想ですね。

—-所沢談義ですねまさに…(笑)。小澤さんはどうですか?

小澤僕がこのインフラスタンドに期待することは、
人が集まる、というの以外には
「面白くて、楽しいトイレを作る会社がある、トイレの新しい役割をどんどん感じてもらいたい」ということです。

トイレってまだまだよくなる伸びしろがあるんだよということをみんなに感じてもらいたいです。
いずれは公共の施設とか、それこそ所沢市民なら西武の物件とかを手掛けたりして、どんどん「いいトイレ」の枠を広げていきたいですね。
このプロジェクトは僕の中では単なる序章です。
本当に、できるだけ多くの人に知ってもらいたいです。

高橋さん私も小澤さんから、「インフラスタンドをきっかけに新しい仕事がきたよ!」というような報告を聞きたいです。
完成がゴールじゃなく、ここがスタートだと思っています。

—-このスペースに立ち寄る人から、トイレへの新しい意見、ヒントが見つかる第一歩になるといいですね。

小澤いろいろなトイレを作らせてもらって、世の中で役に立つようなトイレを作っていけたらと思います。
いいきっかけづくりになればいい。

高橋さんこのプロジェクトに関わることができ、めちゃめちゃラッキーだと思ってます。
これだけ自由にやらせてもらえて、エネルギッシュな小澤さんと仕事ができて、本当に楽しかったです。
また開業したばかりで、事業をやっている先輩として、小澤さんの仕事ぶりを見れたこともラッキーでした。

小澤僕もラッキーでした(笑)。

—-お互いを幸せにするような対談になりましたね。今日はありがとうございました。

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