インフラスタンドでの初イベント、KAWAYA市。どんな風にして盛況を迎えたのか。
全4回に亘る大型対談特集も今回で第三弾。
前回の対談では、インフラスタンドができてからのムーブメントと、KAWAYA市開催への経緯、そこから起きた広がりをご紹介しました。
今回はいよいよ、具体的にKAWAYA市にどのように挑戦し成功にこぎつけたのか、建築家高橋真理奈さんと、自称トイレ社長こと小澤大悟が語ります。
高橋さんがコネクト役!?単独開催ではなく二つのイベントと連携する事になった経緯
—-それでは具体的に、KAWAYA市の記念すべき1回目の開催について、詳しくお聞かせください。
小澤KAWAYA市の第一弾は、KAWAYA-DESGINの社屋にできたインフラスタンドというスペースができてすぐの時期に開催しました。
1回目は秋で、暮らトコ(暮らすトコロマーケット※1)と連携して開催しました。
暮らトコの開催日と被せたら、航空公園から所沢方面に歩きながら流れてくる人が立ち寄ってくれるんじゃないかと狙っていて。
そしたら偶然高橋さん経由で、TSP(TOKOROZAWA STREET PLACE※2)の方とも繋がって。
※1
暮らすトコロマーケット:2015年から航空公園で開催されている屋外イベント。地元・所沢に何百年と続く市の人と物との交流を再興させたいという思いから開催されるクラフトとアート、食と農と音楽とが融け合うマーケットとして毎年多くの人を動員している。手仕事やモノづくりの良さを感じてもらいたいという背景があり、こだわりのアーティストやショップが軒を連ねる秋の一大イベントとなっている。
※2
TOKOROZAWA STREET PLACE:所沢市が2022年秋に始めた「所沢駅周辺グランドデザイン」構想の一部で、主に所沢市の旧町周辺のパブリックスペースを活用することで「居心地が良く歩きたくなる街づくり」に向けた社会実験の名称。街なかの回遊性や賑わいの創出に繋げることを目的としているもの。官民連携が特徴で、具体的なイベントの構想、企画・運営などは民間の業者が行っている。
2022年暮らすトコロマーケットの様子
高橋さんTSPは、第一回目のイベントの背景として旧町周辺のパブリックスペースを有効活用して人の流れを作るという目的があったようですね。
ウォーカブルな街にする、街に賑わいをつくる、空き家とプレイヤーをマッチングするなどの全体構想があってのことみたいです。
—-TSPのイベントというのが知らない人もいるかもしれませんので一応説明が必要かもしれませんね。
高橋さん国登録有形文化財である秋田家と、銀座中央広場を利用したイベントで、それぞれの場所にデザインを統一したテントなどを設営して、マルシェを開催していました。
生活が豊かになるような素敵なマルシェをのんびり楽しみながら過ごすという、所沢ではなかなか目にしない取り組みでしたよね。
詳しくは運営された公共R不動産の方のnoteがあるのでご一読を。
—-高橋さんは市役所の人ともつながりが深いイメージがあります。
高橋さんつながりが深いというわけでもないのですが(笑)。
知り合ったきっかけは、市役所の方がプライベートで私の私設図書館に遊びに来てくれたからなんです。
となりの古本屋(サタデーブックスカフェ)さんにもよく皆さん遊びに来るので、顔を合わせることが多くて。
その方達が所沢市役所で課を超えた部活動として、街歩きの活動をしており、私も初回から誘っていただいて参加しています。
顔を合わす機会も多く、街歩きに参加する中でっ込んだ話をしているうちに、あれよあれよと仲良くなりました(笑) 。
初回参加の場所が竣工前のインフラスタンドだった
—-街歩きイベントってどんなところを周るんですか?
高橋さん結構色々なところに行きますね。所沢だけじゃなくて。
初回は所沢の街歩きでしたが、その中でインフラスタンドも周りました。
まだ竣工前の現場でしたけど。そこで将来的な活用イメージの話などもしました。
—-高橋さんのほかにも、民間の人が市役所のサークル活動に参加することとかあるんですか?
高橋さんはい、他にも何人か。まちづくりや所沢に関心のある方が参加しています。
とはいえ、基本的には元々交流のある方を適宜声かけしている感じです。所沢以外の町に行く時も、視察のような形で地域にコミットしている当事者の方に話を聞くような場を必ず設けてくれているので、とても勉強になります。
小澤役所っぽくない動きですよね、いい意味で。
高橋さんそうですね、いい意味で市役所の中でも変わった人が集まっているのかもしれません。
すごいやる気があって、所沢愛がある。かつ、ほかの地域にも意識を向けて勉強している方が多くいらっしゃる印象です。
小澤年齢層的にはどのくらいの方が多いんですか?
高橋さん30-60代ぐらいですかね。
—-高橋さんと小澤さんがTSPみたいなグランドデザインの計画に関わったのは偶然ですか?
小澤そうです偶然ですね。
たまたまインフラスタンドを作っている時期にそういう流れが合って、コンセプトに親和性があったというか。
もともとインフラスタンドは、公衆トイレにフリーWifiやレンタル自転車を設置してるんですが、それの狙いとしては所沢の新しいコミュニティスポットになればと願っての開設だったので。
高橋さん公共R不動産の方が、ツイッターで私とか小澤さんのツイートをみていて、インフラスタンドに興味を持ってくれていたみたいで。
私の方にDMが来たんですよ。インフラスタンド見学をしたいとのことで、ご案内しました。
そこで、TSPの構想を少しうかがいました。最終的には、暮らすトコロマーケット、KAWAYA市、TSPが同時開催することになりました。
小澤TSPとイベント日がつながったのは完全に高橋さんのおかげですね。
市役所の人と関係の下づくりをしてくれて、TSPの回遊ルートに入れてみたら?という話になったんですよ。
KAWAYA市だけだと知名度的にも規模的にも人を呼び込めない。
TSPも初回だったので同様だったのかもしれませんね。
暮らトコと日にちを合わせたいというメリットが重なったんですよ。
高橋さんインフラスタンドの場所がその日にイベント会場として加わることで、航空公園の暮らトコ、所沢旧町街(銀座通りと国登録有形文化財秋田家のあたり)のTSP、その間のKAWAYA市と、立地的にも繋がりができて良かったですよね。
—-そのイベントの日が終わった後は、なにかその3者で振り返りのようなものはあったんですか?
小澤その後そのメンバーが、所沢グランドデザインフォーラム※3に呼ばれてパネルディスカッションに出ることにつながりました。パネルディスカッション当日やその打合せなどで、TSPを企画した公共R不動産の飯石藍さん、暮らトコの岡田一さん(当日は体調不良で不参加)とともに、社会実験の成果や反省点を話しました。
事前に話し合いをしたので、所沢のまちづくりについてどういう考えをされているのかがわかって、非常に刺激を受けましたね。
※3
所沢グランドデザインフォーラム:イベント後に所沢市が開催。まちづくりに造詣の深い人が登壇し、ディスカッションをするイベントとなった。
—-なるほど、一度KAWAYA市を開催したことで、KAWAYA-DESIGNが最初から思い描いていた「所沢にトイレを通して貢献したい、所沢に面白いと思えるものをつくりたい」という理想が少し現実の形となってきたという感じでしょうか。
小澤そうですね。そして、二回目のKAWAYA市でも、さらに広がっていくんです。
—-その話も気になります!
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