所沢にインフラスタンドができて1年経過。KAWAYA-DESGINに変化はあったのか。


2022年にオープンしたKAWAYA-DESIGNの「インフラスタンド」。
SNSやメディアでも取り上げられ、徐々に知られつつあるスペースだが、実際にオープンしてから何か変化はあったのか?
全4回に亘る大型対談特集。前回同様建築家高橋真理奈さんと、自称トイレ社長こと小澤大悟が語ります。


インフラスタンドを作った経緯を振り返る

—-そもそもインフラスタンドを作った経緯を改めて教えてください。

小澤僕はトイレ屋なので、自分ができることで、公衆トイレへの価値観を良いものに変えたいという想いが大きくありましたね。
娘が4人いるのですが、やはり公衆トイレは汚いし暗いし怖い、という印象があるようで外出先で我慢した経験があります。
大人でも女性はそういう経験がある人、結構いると思います。
でも逆に、トイレがキレイな場所では集客に成功してる事例もある。
トイレって人にとって重要な場所なんだって思っています。
公衆トイレをもっと安心して使えるものにしていきたい。
その一心で計画は始まりました。

—-インフラスタンドという名前がこのスペースに付き、建築家の高橋真理奈さんとの熱い二人三脚はとても面白くお話を聞きました。

小澤ありがとうございます。

高橋さん都内のトイレツアーに一緒に行って認識のすり合わせをしましたよね(笑)。

小澤あの渋谷トイレプロジェクトが、その後映画の題材になるくらい、エッジの効いたトイレ企画として認知され続けていますね。
そういう取り組みが、僕が生まれ育った「所沢」という地でも発信していけたら面白いなと思っています。
この都会でもない田舎でもない所沢だから出来る事があると思っています。

地元に数十年根付く水道屋が始めた新しいビジネス「KAWAYA-DESIGN」の象徴

小澤ご存じの方もいるかとは思うんですが、そもそも弊社石和設備工業が2020年に「KAWAYA-DESIGN」という新しいビジネスを始めたんですが、今まで石和設備工業として50年以上地元に根付いてやってきて、上下水道含む水道工事業がメインだった会社から、トイレや水回りに特化したリフォームビジネスを別ブランドとして立ち上げたことが今回のプロジェクトの動機としてやはり大きいですね。
KAWAYA-DESIGNは、トイレの広告サービスや、店舗向け・個人宅向けの完全オーダーメイドトイレリフォームなどの事業です。
他のリフォーム会社との差別化が上手くいかない事にやきもきしていた時期もありましたので、実際に自分たちが目指すトイレのカタチを見本となるようなトイレを、公衆トイレとして社屋敷地内に作っちゃおうっていう、構想60%くらいの状態で事業に着手してました(笑)。
まちを歩くと、そこには最先端のトイレがあって、すごく安心して使ってもらえる公衆トイレ。
僕たちのトイレへの想いやこだわりも伝わるし、最高だと思いました。

インフラスタンドができた経緯についての関連ブログ
ご近所さんと仕事以外の話題で交流が持てるようになったから伝えられることと、公衆トイレとしての安心感が伝わり始めている嬉しさ

—-実際にインフラスタンドができたあと、作ってよかったなと感じることはありますか?

小澤もともと水道工事がメインの会社なので水道の困りごと関連でしか人との接点を持てていませんでした。
インフラスタンドができたことによって、散歩の途中でインフラスタンドの前を通る方と世間話ができたり、KAWAYA-DESIGNの事業に関しての話が少しずつできたりしているんですよ。
僕たちを知っていただくことへのつながりができ始めてるかなという感覚はありますね。うれしいです。

—-立ち寄った人からどんな声があったのかなど、印象に残るエピソードを教えてください。

小澤このスペースではゆっくり過ごしてほしいので、あまり積極的にはこちらから声掛けはしていないんですよね。
でもうれしかったこととしては、保育園のお散歩コースになって、わちゃわちゃ遊んでくれること、若いカップルがそこに座ってのんびりしてくれることかな。
あとは単純に面白がって写真だけ撮りに来る人もいますね(笑)。
滞在者にこちらから話しかけないのには理由があって。
私有地に入ってきているような感覚があると思うのでちょっと遠慮気味な感じになるというか。
そこへきて管理者から声をかけられたら、「あ、なんかすいません」みたいになっちゃうのは申し訳ないなと。

—-たしかに(笑)。ではあんまりお話しする機会はないんですか?

小澤ご高齢の方だと結構気楽に話しかけてくれますね。
いまだに、「何屋さんなの?」と聞かれることが多いですけど(笑)。
これに関しては、もっと僕たちも周知を頑張らないといけないなと思っています。

あとは社屋の見た目とか、トイレについての活動を褒められたりすると素直に嬉しいです。
僕的には、トイレにまつわることで所沢に前向きな変化を起こすところまではいっていないので評価をしていただくのはこれからだと思っています。

—-具体的にどんな使われ方をされているんでしょうか?

小澤通勤や通学とか、ルーティンのルートの中にこの道を選んでいる人のなかでも、「いざというときのトイレはここが安心!」みたいに思ってくれてる人ができてきた感じがします。
毎日のように登校途中に寄ってくれる小学生とか。
あと自転車で明らかにトイレが目的で寄ってくれる高校生とか。
外回り営業の方のちょっとした休憩所になったりしてますね(笑)。
どんな人でも、安心して使える場所になりつつあるのかなと。

イベントスペースとしてのブランディングは道半ば。これから育てていきたいと語る小澤さん

小澤実は、インフラスタンドを作る前は公園のように人が集いコミュニティーが自然と発生して…みたいに淡い想像をしていました。そこは今でも模索中ですね。
自然に人が立ち寄ったり集えたりするスペースになるといいなと思っているので、イベントをやったり、スペース貸しをしたり、色々企画していこうと思っています。

—-今までも問い合わせはあったりしたんでしょうか?

小澤はい、おかげさまでいろんなジャンルの方からご相談いただけるようになってきています。
スペース貸しのページをWEBサイト上にも作ったので、それもあるのかなと思います。
KAWAYA市のようなKAWAYA-DESIGN主体のイベントもあれば、外部の方が運営のするイベントをスペース貸しとして開催するということも行っています。

高橋さんそのために、洗面スペースがあったり、ベンチを設けたり、Wi-Fiを飛ばしたり、キッチンカーを停められる駐車スペースを設けたり、イベントをしやすいように設計しました。

様々なメディアで取り上げられ、ついには「ベストアクション賞」を受賞

—-最近いろんなメディアに載っているのを見かけます。散歩の達人にも載りましたよね?
小澤おかげさまでいろいろなメディアの方に取り上げていただいてます。
大変ありがたいです。
面白いことにひとつメディアに出ると、取材が取材を呼ぶみたいですよね。
J-COM・FM79.5・商店建築・リフォーム産業新聞・YAHOO地域ニュース・助太刀・香港のVIU-TV・所沢商工会議所・所沢市商業観光課・散歩の達人など、本当にいろんな媒体からお声がけをいただけるようになりました。
トイレが注目されるとうれしくなりますね。
過去の施工例を遡って取材してくれるような出来事もあったので、嬉しい驚きをいただくばかりです。

そういえば(2023年)5/30に関東商工会議所から弊社の取り組みを「ベストアクション賞」として表彰いただいたんですよ。
今まで僕が「所沢のトイレを変える!日本のトイレをもっと良くしたい!」とアツく語っていたことが、インフラスタンドを作ったことにより形になり、KAWAYA市をきっかけに多くの人から受け入れ始めていることが、とてもうれしいし光栄です。

所沢という街を回遊したくなるようなコンテンツとして、一翼を担いたいインフラスタンド

—-メディアに取り上げられたことによって、地元の人以外も来るようになったりはしましたか?

小澤まだ目立って地元以外の人は見かけない印象ですね。地元以外の人にもすごく来てほしいです。
航空公園があって、旭橋(所沢に飛行場ができたときに作られた橋で、国の有形文化財)があって、盃横丁(飲み屋が軒を連ねるレトロ感ある横丁)があって、ロケーション的にはいいんだけど大きな目的になるものがない。
もうちょっと周りに何かできたらいいなと思っています。
有楽町(荒幡肉店とか、神明社とか、刺繍カフェHariii/ハリーとか、深井醤油とか※1)の方に魅力的な場所がたくさんあるので、みんなで協力して航空公園から中心市街地への回遊動線が作れたら所沢市が目指す歩きたくなる町に近づけるんじゃないかなと思います。

※1 荒幡肉店:昭和初期からある昔ながらのお肉屋さん。オードリー春日さんが子供のころから学校帰りに買っていたというコロッケは地元の人に長年愛されている。
神明社:所沢総鎮守の神社。
刺繍カフェHariii/ハリー:所沢にあるカフェで、工業用刺繍機を使ってオリジナルの刺繍をオーダーできるお店。
深井醤油:江戸時代から続く老舗の醤油屋。本店敷地にはギャラリーがある。

—-所沢駅周辺グランドデザイン(※2)の中にここも入っていますよね。散歩したくなるようなルートがつながって歩ける面白さができるといいですね。

小澤そうですね。インフラスタンドを知る人が増えて、所沢面白いと思って訪れてくる人が増えるといいです。

※2 所沢駅周辺グランドデザイン:2022年4月に所沢市が策定した「所沢駅周辺で、街なかのパブリックスペースなどを活用しながら官民が連携して街づくりを進めるためのビジョン」のこと。
街の賑わいや回遊性を生み出し、街の理想像の実現を目指している。
(詳細情報は公式サイトへ〉)

—-まちづくり!具体的には。

小澤自分たちだけではスケールできないような周辺事業との連携ですね。
例えば東所沢の観光情報物産館YOT-TOKO(よっとこ)・KADOKAWAのサクラタウン・航空公園で毎年開催されていた市民文化フェア・所沢駅周辺グランドデザインプロジェクトの社会実験「TOKOROZAWA STREET PLACE(通称TSP)・航空公園で毎年秋に開催されている一大イベント 暮らすトコロマーケット)であったり。

ほかにもところざわ祭りでのトイレ問題解決に向けた相談を受けたりしています。
インフラスタンドがなければ大きな企業や団体、市役所や商工会議所に声をかけてもらう事は難しかったと思います。

この、まちづくりという部分では、高橋さんのみならず多くの人が関わってくださり、つながりを作ってくださったことが大きいと思っています。

—-では次の回では、高橋さんのお話もお聞かせください!

気になるインフラスタンドの展開快進撃。
次なる記事にて詳しくご紹介いたします!

連携したイベントのチラシを重ねたような画像撮れそうでしたら使用したいです

関連プロジェクトのブログ

Consult with us about any toilet

トイレにまつわることならお気軽にご相談ください

トイレにまつわることならお気軽にご相談ください

トイレで世の中をワクワクさせたい。
KAWAYA-DESIGN(石和設備工業)は単なる「空間」を新しい視点と確かな技術で
プロデュースできる水道工事会社です。